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STUDIO4℃の新作劇場アニメ『Future Kid Takara』(仮称)始動!

1995年の『MEMORIES』から始まり、常に世界に衝撃を与えてきたSTUDIO4℃(武蔵野市吉祥寺北町)。近年では映画『海獣の子供』、劇場版三部作をテレビサイズに再構成した『ベルセルク 黄金時代篇 MEMORIAL EDITION』などを手がけた当スタジオが、満を持して新作アニメ映画『Future Kid Takara』(仮称)の制作を開始しました。

環境問題に挑戦する『Future Kid Takara』(仮称)

1995年の『MEMORIES』、2006年の『鉄コン筋クリート』、2012−13年の『ベルセルク 黄金時代篇』三部作、2019年の『海獣の子供』など、劇場版を中心に、大胆かつ緻密、常に先進性を示す作品で日本のアニメーションを牽引してきたSTUDIO4℃。2003年にはあの『マトリックス』シリーズのスピンオフアニメ作品『アニマトリックス』の制作を主導するなど、世界的な評価も高いスタジオです。

そのSTUDIO 4℃が、2025年の公開に向け、新作アニメ映画『Future Kid Takara』(仮称)の制作を開始しました。

『Future Kid Takara』(仮称)は、現在地球的な課題となっているCO2削減、つまり地球温暖化に挑戦する作品です。

現在世界各国は、地球温暖化の主要原因と目されるCO2、二酸化炭素排出量の削減に取り組んでいますが、2025年までに現在の排出量が減少に転じないと、深刻な環境破壊の危険性が高いという、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告があります。

『Future Kid Takara』(仮称)が公開される2025年は、つまり人類と地球にとって最後のチャンスとなる年です。STUDIO 4℃は、『Future Kid Takara』(仮称)を通じて、地球温暖化と脱二酸化炭素を訴えることに挑戦します。

これまで、環境問題に取り組んだアニメ作品としては、2001年の『地球少女アルジュナ』(サテライト)などの作品もありましたが、環境問題に関する知見は日々研究が進み、常に最新の情報と知識の周知が必要です。

こうした問題の周知には、教科書的なアプローチではなく、親しみやすく面白いエンターテインメント作品を通じたアピールが有効。『Future Kid Takara』(仮称)も、「「壮大な冒険に満ちたエンターテインメント」の物語で、最高峰の長編オリジナルアニメーション映画を目指」すことで、この問題に取り組むことになります。



アニメ制作現場でのCO2削減にも挑戦

こうした作品に挑むにあたり、STUDIO 4℃は制作現場でのCO2削減にも取り組むとのこと。現在一般的なCO2削減の取り組みには、再生可能エネルギーの導入や省エネが主流です。他には「カーボンオフセット」といわれる、植林や森林保護などへの寄付を通じて、CO2削減に取り組むという方法もあります。
STUDIO 4℃では、まずはペットボトルの使用を控えたり、ペーパーレス化をできるだけ進めるなどの小さな取り組みを始めており、今後設備投資などにつなげていく予定です。

また、アメリカの「Kickstarter」によるクラウドファンディングも始まっており、パイロット映像も掲載されています。

<Kickstarter『Future Kid Takara』(仮称)プロジェクトページ>

常に時代の先を走るSTUDIO 4℃の新作『Future Kid Takara』(仮称)。2025年に向けて、制作を応援すると共に、我々一人一人も、自らの課題である地球環境の持続について、考えていく必要があります。

−−−−−作品情報−−−−−

【映画『Future Kid Takara』(仮称) 制作の経緯】
私たちのスタジオでは、アニメーションを作っています。
毎日スタジオに通う中、去年も今年も、異常気象だと思う日は増えました。35℃以上の猛暑日が続いて、夏は通勤が大変です。ゲリラ豪雨なんて、昔はありませんでした。日本のあちこちで、豪雨や台風で家が何軒も流される大洪水が毎年のように起きています。
2025年までに、ある気温上昇のボーダーを超えると、もう戻れないかもしれないという番組を見た記憶があります。永久凍土が融けると、何かこわいことが起こりそうです。けれどもスタジオでは毎日アニメーションを作っています。
私たちは今まで、ほとんど何もしてきませんでした。そうしているうちに、ある日、そのボーダーは超えてしまうでしょう。だから、私たちは、このアニメーションを作ることを決めました。ボーダーを超えてしまった世界は、アニメーションの中の世界だけにとどめたい。そのために、私たちはCO2を削減しながら、アニメーションを作ることに挑戦します。本映画は、そのボーダーを超えてしまった世界に生きる少年タカラの物語です。

『Future Kid Takara』(仮称)
ディストピアの未来を舞台にした、アクション満載のファミリー向け映画。現代の少女サラが2100年にタイムワープし、主人公のタカラと一緒に地球温暖化の影響で荒廃した世界を生き抜く冒険物語。

監督 佐野雄太 Yuta Sano コメント
この作品は環境問題をテーマにした“SF冒険ファンタジー”です。
私たちの表現手段であるアニメーションは、その一人一人の心を動かし、世界を変える力があるのではないか?
そんな想いから生まれたのがこの『Future Kid Takara』(仮称)です。
起こりうる未来をアニメの王道である冒険ファンタジーとして描いたオリジナルストーリー。
それを、STUDIO4℃ならではの独特な世界観で表現し、最高のエンターテインメントとして多くの人に楽しんでもらいたいと思っています。
そして、それを見た人の感動が世界の変化のきっかけになると信じています。
人々の心に響く、日本のアニメーションの力を見てください。
映画『Future Kid Takara』(仮称)ぜひ、応援よろしくお願いします。

アニメーションディレクター、3Dアニメーター、CGIアーティスト。映画『ベルセルク 黄金時代篇』(2012-13)ではメインCGIアニメーターとして活躍する一方、絵コンテや演出にも貢献した。短編アニメ『Red Ash: Gearworld』(2015)で監督デビューし、アニメの美学とCGIを融合させる才能を発揮、『映画 えんとつ町のプペル』(2020)ではアニメーション監督を務める。最新作は、2022年にテレビ放送された監督作「ベルセルク 黄金時代編 MEMORIAL EDITION」。

企画アドバイザー 堅達京子 Kyoko Gendatsu コメント
今、地球温暖化は大きな分岐点に差し掛かっています。すでに産業革命前から1.1℃上昇し、強大な台風や豪雨、世界的な山火事や干ばつなどの被害が相次ぐ気候危機に直面しています。温暖化の原因である化石燃料などから排出されるCO2を大幅に減らすことができなければ、2100年に地球の気温は2℃以上上昇し、そのことが引き金となって4℃以上も気温が上昇してしまう灼熱地球に突入してしまうリスクがあると科学者は警告します。
これを食い止めるには、気温の上昇を人類の防衛ラインともいえる1.5℃に抑えなければなりません。しかしタイムリミットが迫っています。サッカーの試合で言えば、地球を救うゴールを決められないまま、延長戦後半か、アディショナルタイムに入っている・・・私たちは今、そんな大ピンチにいるのです。ゲームオーバーにだけは、絶対にしたくない。私はマスメディアの人間として、一人でも多くの人にこのことを知ってもらい、自分自身の行動を変えてもらいたいと思っています。
大きな期待をしているのが、気候変動をテーマにしたオリジナルアニメ映画『Future Kid Takara』(仮称)です。アニメには、人を動かす力があると信じています。ぜひ一緒に応援しましょう!

早稲田大学・ソルボンヌ大学留学を経て、1988年にNHK入局。報道番組のディレクターを経て、2006年よりプロデューサー。NHK環境キャンペーンの責任者を務め、気候変動や脱炭素、SDGsをテーマに数多くのドキュメンタリーを制作。難しい課題をわかりやすく伝え、多くの視聴者の心をつかんでいる。2021年から、NHKエンタープライズに転籍。
主な制作番組に、NHKスペシャル「激変する世界ビジネス 脱炭素革命の衝撃」、NHKスペシャル「2030 未来への分岐点」、 BS1スペシャル「気候危機を食い止めたい! 若者たちが挑むCOP26」、NHK民放6局連動環境スペシャル番組「1.5℃の約束 いますぐ動こう、 気温上昇を止めるために」など。
日本環境ジャーナリストの会副会長 環境省中央環境審議会臨時委員 文部科学省環境エネルギー科学技術委員会専門委員 世界経済フォーラムGlobal Future Council on Japanメンバー 東京大学未来ビジョン研究センター客員研究員
【主な著書】
・『脱プラスチックへの挑戦 持続可能な地球と世界ビジネスの潮流』(山と溪谷社)
・『脱炭素革命への挑戦 世界の潮流と日本の課題』(山と溪谷社)

科学アドバイザー 江守正多 Seita Emori  コメント
地球の平均気温が4℃上昇した状態を、私たちはほとんど想像できていません。カナダや北欧が氷で覆われていた2万年前の氷河期ですら、平均気温は今より6℃しか低くありませんでした。それを考えると、4℃温暖化した地球は今とは相当変わり果てた気候であるはずです。しかもその上に乗っているのが、格差と分断に満ちた脆弱な人間社会だとしたら。それは何世代も先の遠い未来の話ではなく、最近産まれた子供たちが生きている間にやってくるかもしれないことです。そして、私たちは今、そんな未来を避けられるかどうかの瀬戸際に立っています。私たちは普通に生活していると、自分自身がそんな歴史の重大局面に立たされた主人公の一人ひとりであることを、なかなか感じることができません。だから、物語の力が必要です。映画『Future Kid Takara』(仮称)は、2100年の未来に思いをはせる想像力と、歴史を選択する時代に生まれ落ちたことの実感を、私たちに与えてくれる、希望の物語になるでしょう。

東京大学教養学部卒業。同大学院総合文化研究科博士課程終了。博士(学術)。1997年より国立環境研究所に勤務。専門は気候科学で、コンピュータシミュレーションによる地球温暖化の将来予測を研究するほか、一般向けに地球温暖化に関する解説書の執筆や、コメンテーターとしても活躍している。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次および第6次評価報告書主執筆者。
2022年より東京大学未来ビジョン研究センター教授。国立環境研究所上級主席研究員。
【主な著書】
・『地球温暖化はどれくらい「怖い」か?〜温暖化リスクの全体像を探る』(技術評論社)
・『NHKスペシャル 気候大異変 地球シミュレータの警告』(NHK出版)
・『異常気象と人類の選択』(角川SSC新書)

【スタッフ】  監督:佐野雄太
世界観デザイン・キャラクター原案:木村真二
企画アドバイザー:堅達京子
科学アドバイザー:江守正多
SF監修:高島雄哉
アニメーションプロデューサー:長谷川舜
アニメーション制作:STUDIO4℃
プロデューサー:田中栄子
企画・製作:Beyond C.

©Beyond C.