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武蔵野市書店探訪【吉祥寺編1】

街の文化発信、その拠点はもちろん書店です。武蔵野市には魅力的な書店がいっぱい。このコーナーでは、武蔵野市の書店さんから聞いた最新情報や意外な売れ筋など、マンガやアニメの今をうかがうことのできる情報をお届けします。

■ ブックスルーエ

武蔵野市の書店といえば、いの一番に名前が挙がる「ブックス ルーエ」。吉祥寺サンロード商店街の中程に位置するこの書店は、3階建ての広々とした店舗です。
地元密着型のルーエさんは、吉祥寺近郊のマンガ家さんと交流が深いことでも有名。特に3階のコミックフロアには、そこここにサイン色紙やマンガの複製原画が貼られており、「下を向いて」本を探しつつ、「上を向いて」色紙や原稿を楽しむことができます。

そんなブックス ルーエ。ずっと昔からサンロードにあったような気がするお店ですが、実は「書店として」は1991年から(十分長いですが)。それでも老舗感がすごいのは、元々は「おおむら」という蕎麦店として1936年に開業し、後に「喫茶ルーエ」というオシャレな喫茶店となり、そこから書店になったという経緯があるからです。お店自体は戦前からあるのです。
喫茶店から書店に変わったかという理由は? 実は、喫茶店などの飲食店は、15〜20年くらいで、内装や厨房などを更新しないといけないのですね。やはり経年劣化でダメになってしまうものが多いのです。1991年は「喫茶ルーエ」にとってちょうどそのくらいのタイミングでした。しかし、その時はバブル経済崩壊直後で、いろいろなものがまだ高く、喫茶店のような薄利の商売は続けにくかった。それなら、ということで、以前から興味を持っていた書店に進出したというわけなのです。

書店となってからのブックス ルーエは、ちょうど盛り上がりだした「吉祥寺ブーム」を牽引したお店でもありました。当時、マガジンハウスの雑誌『Hanako』は、地域限定の特集を組み始め、それが大ヒットしていました。中でも、吉祥寺特集号は売れに売れた。そんな『Hanako』の特集号を、吉祥寺の中心といえる場所にあるブックス ルーエはプッシュし、雑誌の売り上げと、吉祥寺の人気向上に絶大な貢献をしたのです。

現在も、武蔵野市の文化を牽引するブックス ルーエ。売れ線はきっちり押さえつつも、そこここに鋭い目利きが感じられる「棚」が構成されている書店です。今まで知らなかった宝物を発見出来るのが書店です。そうした書店の力を、ブックス ルーエは今も存分に発揮しています。

【ブックスルーエ】
公式サイト:
http://www.books-ruhe.co.jp/
営業時間:
平日・土曜日10:00〜21:30 
日曜・祭日10:00〜21:00
(2022年11月現在)
住所:東京都武蔵野市吉祥寺本町1-14-3


■ジュンク堂書店 吉祥寺店

吉祥寺が文化の街として発展したことに、大型の書店が果たした役割は非常に大きいものでした。中でも、存在感を放っていたのが吉祥寺PARCOの地下2階(現在はミニシアター「アップリンク吉祥寺」が入店)にあった「パルコブックセンター」。広大なスペースには、「何年かに1冊売れれば良い」とばかりに、高額な専門書や全集、これでもかとそろえられた岩波文庫など、「ここに行けば何でも手に入る」という「環境」を、吉祥寺の街にもたらしていたお店でした。
しかしそのブックセンターも2018年に閉店。これにより、古くからの住人は大きな喪失感に襲われました。
しかし、その危機を救ったのが、伊勢丹からコピス吉祥寺へのリニューアルとともに吉祥寺へ出店していたジュンク堂書店 吉祥寺店でした。

ジュンク堂書店といえば、言わずと知れた大型書店グループ。品揃えの豊富さでは、群を抜く存在です。コピス吉祥寺B館の6階、7階に入居する吉祥寺店は2010年の開店。良きライバルから、なんでも手に入る書店という「使命」を継ぐ存在となっています。マンガやアニメとは直接関係はないかもしれませんが、大作家、思想家、評論家の全集などもできる限り揃えられています。

しかし、そんな吉祥寺店ですが、希少な書籍が手に入るだけではありません。コピス吉祥寺は、近隣の親子連れのお客さんが集まるスポット。児童書の充実が特徴です。コミックも品揃えで勝負。連載中の作品は特に、可能な限り全巻手に入るように気を遣っています。「○巻だけどこでも品切れ!」ということがありましたら、最後の砦として、ジュンク堂書店 吉祥寺店をチェックするべきでしょう。

【ジュンク堂書店 吉祥寺店】
公式サイト:
https://honto.jp/store/detail_1570063_14HB320.html
営業時間:10:00〜21:00
(無休 2022年11月現在)
住所:東京都武蔵野市吉祥寺本町1-11-5 コピス吉祥寺B館6F・7F


■啓文堂書店 吉祥寺店

2014年に完成した駅ビル「キラリナ京王吉祥寺」。このビルは吉祥寺の街ではいわく付きの歴史がありました。1970年、この場所に、当時としては規模、スタイルともに最新式の「ターミナルエコー(吉祥寺エコービル)」が開業し、注目を集めました。しかし、駅ビル的な場所にあるのに駅との接続が悪い、他に魅力的な施設が増えた(ちょうど、吉祥寺の街が大再開発で現在の姿に変化する時期でした)ことなどから、テナントの確保に苦戦。1980年代には「幽霊ビル」扱いをされてしまっていた場所でした。
このエコービルを救ったのが、1995年に開店したユザワヤ、そして大手書店の啓文堂書店です。元々、書店はもちろん、クリエイターが必要とする画材や、仕事と趣味の両方で珍重された玩具店などが充実していた吉祥寺でしたが、それをさらに強化し、同時にユザワヤの実力を広くアピールしたのが、この「吉祥寺店」でした。
そして、啓文堂書店も、ユザワヤで材料を買って啓文堂で解説書を買う、といった役割もあり、「幽霊ビル」の復活に、大きく貢献しました。
そんなエコービル。2010年代に入るとさすがに老朽化が進み、元々の構造に問題があったことも判明していたため、改築の計画が進みます。そして、完成したのが、現在の「キラリナ京王吉祥寺」なのです。

この新しいビルに、啓文堂書店も帰ってきました。7階という「行きづらい」場所にあるこの書店には、面白い特徴が生まれています。もちろん、一般的な新刊も当然プッシュしますが、ハードカバーの小説やノンフィクションなど、「本好き」が好む書籍が売れ、また店舗もそうした本を積極的に陳列しています。

コミックにも同じ特徴があり、むしろ「他の行きやすい書店に置いていない本を置こう」という作戦をとることができるので「棚」作りが楽になっている側面もあるといいます。実際、コミックコーナーをみると、売れ筋はきっちりカバーされた上で、いわゆるマニア誌系作品や女性向けなど、マンガをよく知っている人にも満足な棚が存在します。
また、CGや手芸などの実用書・技術書がコミックコーナーと隣接していることで、技術解説コミックなどもよく動くといいます。これは「エコービル」時代からの伝統ですね。
不利な条件を逆に活かしてつくられた棚、じっくりと書籍を探せる雰囲気が、啓文堂書店吉祥寺店の特徴となっています。普通の書店のようにも使えますが、ちょっと目的をもって訪れると、思わぬ発見がある店舗といえるでしょう。

【啓文堂書店 吉祥寺店】
公式サイト:
https://www.keibundo.co.jp/
営業時間:10:00~22:00
(無休 2022年11月現在)
住所:東京都武蔵野市吉祥寺南町2−1−25 7F